ケベック州のフランス語事情| フランス語憲章

ケベック州はフランス語を話す住民が多く、州の公用語がフランス語です。しかも、単に公用語がフランス語というだけではなく、商業活動などで強制される部分もあるようです。率直に言って、ちょっと極端な気がします。

アメリカ資本のファーストフードまでフランス語

ケベック州ラヴァルのケンタッキー・フライドチキン。フランス語ではPoulet Frit à la Kentucky、略してPFK。(ウィキペディアより)

州の公用語はフランス語のみ

ケベック州といえば、フランス語を話す人が多いことで知られています。もともとフランスの植民地でしたから、その時代の名残ですね。

しかもそれだけでなく、フランス語は州の公用語にもなっています。より正確に書くと、フランス語だけが州の公用語なのです。

カナダの連邦の公用語は、英語とフランス語です。しかしケベック州に関しては、英語は公用語と認められないというわけです。

商業活動でも干渉される

実は、公用語がフランス語というのは、お役所の言葉がフランス語というだけではありません。商業活動などでもフランス語を使うように強制されていた時期があるのです。

1977年に制定されたフランス語憲章というケベック州の法律では、次のような事が決められました。

  • 立法・行政・司法の手続き(訴訟や判決など)はフランス語で行われること
  • 学校教育(州政府直轄の義務教育)では子供はすべてフランス語系の学校で学ぶこと
  • 商工業などの経済活動では、書類にはフランス語を使うこと
  • 雇用主と従業員の会話や、企業内部での言語はフランス語に限定すること

ちなみに、ウィキペディアから引用しています。

これを読むとわかるように、単に州の行政でフランス語が使われるというだけではなく、教育や商業活動などでもフランス語の使用を強制しているのです。しかも、企業内言語までフランス語にしなければいけないとしています。

ケベック州から逃げ出す人や企業も

率直に言って、やりすぎですよね。それまでケベック州に住んでいた英語系の住民の中には、とどまり続けるのが難しいと考える人も出てくるでしょう。

あと、観光客には不便でしょうね。英語は分かってもフランス語は分からないという人も少なく無いでしょうから。

実際にケベックから出て行った企業もあるようです。

強引なフランス語化により、モントリオール銀行、テキシコ・カナダ、サン・ライフといった大手企業がケベックを去ることにもなった。英語系住民約20万人がケベック州を出たともいわれている。(ウィキペディアより)

現在は緩和されている

さすがにこの極端な政策を続けるわけにもいかなかったようです。1985年以降、徐々に緩和される傾向にあるようです。現在では、商業用広告の英仏両語表記が認められたりはしているようですね。

とは言え、いまだにフランス語憲章を再強化しようという人たちもいるようです。ケベック党という、分離独立を目指す政党が一定の議席を持っているようですね。この党は、州の政権与党だった時期もあるようです。

まあ、将来どうなるかは、予断を許さないといった感じでしょうか。ケベック党がかかわっている以上、ケベック独立の動きとも関係がありそうですしね。


スポンサードリンク

関連した記事を読む


コメントは受け付けていません。