カナダとアメリカは戦争をしたことがある?| 米英戦争

カナダというと、アメリカの忠実な子分という印象を持っている人がいるでしょう。

実際、両国の国境は「最長の防御が無い国境」などと呼ばれています。貿易も活発ですし、メジャーリーグやNHL のチームがカナダにあったりもしますね。

そんな両国関係ですが、昔からずっと蜜月だったというわけではないようです。実は、カナダとアメリカは戦争をしたことがあるのです。

エリー湖の湖上戦

エリー湖の湖上戦

カナダはアメリカに攻め込まれている

アメリカとカナダが戦争をしたとは言っても、カナダがイギリスの植民地だった時代です。アメリカ軍が北米のイギリス植民地に侵攻しています。北米のイギリス植民地というのが、今のカナダです。

もうちょっと正確に書くと、1812年にアメリカがカナダに攻め込んでいます。このときに、当然ですが、イギリスの植民地であったカナダは戦場になったわけです。そして、その地域に住んでいる人も、戦争に巻き込まれているというわけです。ですから、厳密に言うと、アメリカとカナダの戦争ではないのですけどね。

ちなみにこの戦争は、日本では米英戦争(あるいは「1812年戦争」)と呼ばれることが多いようです。英語では、War of 1812という表現が使われます。

ナイアガラの滝周辺が激戦地だった

現在では、戦闘があった地域が観光地にもなっているようです。ナイアガラの滝のあたりも激戦地だったようですね。

ちなみに、ナイアガラの滝には、レインボーブリッジという橋が架かっています。この橋を使うと、歩いてアメリカとカナダの国境を渡ることが出来るそうです。地図で見る限り、300メートルとか400メートル程度でしょうか。

写真で見る限り川の流れも激しくないので、たしかにここで戦闘があっても不思議ではありません。ナイアガラの滝というと、大瀑布というイメージが強いですが、全部が全部そうというわけでもないんですね。まあ、考えてみれば当たり前か。

この橋はトロントから比較的近く、車で1時間50分ほどで行けるようです。Google マップの情報を信じればですが。

もっともこの戦争は、あくまでアメリカとイギリスの戦争です。ですから、カナダがアメリカと戦ったかと言われると、かなり微妙ですけどね。カナダに住んでいる人も戦争に参加してはいますが、あくまで米英戦争です。まあ、カナダが戦場になったことがあるという理解で良いでしょう。

1812年戦争というと

全くの余談ですが、1812年の戦争というと、米英戦争ではなくナポレオンのロシア遠征を思い出してしまいます。

世界史的な出来事として、ナポレオンのロシア遠征の失敗の方が大きいという理由もあります。ただ、それ以上に、チャイコフスキーがこの戦争のロシア側の勝利を祝した「祝典序曲1812年」という曲を作曲しているのです。

その曲が有名なので、どうしても、米英戦争のイメージが無いわけです。

ホワイトハウスの逸話もこの戦争

ちなみに、アメリカのホワイトハウスには、名前に関する有名な逸話があります。戦火で焼けてたので、外壁をペンキで白く塗りなおした。そこからホワイトハウスと呼ばれるようになったというやつですね。

そのホワイトハウスが燃えた戦争が、この米英戦争です。つまり、アメリカ軍はイギリス軍に、ワシントンDCを落とされたわけです。

もっとも、この逸話は、ちょっと信ぴょう性に欠けるようです。イギリス軍に焼かれたというのは本当なんですけどね。ホワイトハウスという名前自体はそれ以前からあるという説もあります。

当時の軍事力の差は圧倒的だったのに決着までに時間がかかった

ところで、アメリカ独立戦争は1775年4月19日から1783年9月3日までです。ということは、独立戦争からこの戦争まで、わずか30年弱しかないわけです。

ということは、常識的に考えれば、当時のアメリカとイギリスの国力差は圧倒的なはずですよね。独立戦争だって、フランスなどの助力があってやっと勝てたわけですから。

それにもかかわらず、1812年戦争は終戦まで3年程度かかっています。今回はアメリカ1国による戦争ですから、イギリスとしては本来、こんなに苦戦するはずはないのです。

イギリスの苦戦の理由は、ナポレオンに対抗するために、アメリカに戦力をさけなかったからです。ちなみに、ウィキペディアに次のような記述があります。

ナポレオン戦争に関わっていたイギリスには新大陸に戦力を向ける余裕が無く、アメリカはその隙を狙っていわば火事場泥棒的にカナダをイギリスから奪おうとした。

火事場泥棒的にという表現が良いかどうかは分かりませんが、まあ、そういう事です。世界情勢をみたら、このタイミングだったということでしょうね。


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