NHKのラジオ講座は、とても優れた教材だと思います。
ただ、この講座だけで外国語を身につけるのは、難しいかもしれません。
というのも、NHKのラジオ講座には、いくつかの問題点があるのです。
具体的には、次のような点が問題だと考えます。
・ 半年間で終わるという制約があるのでペースが速すぎる
・ 1回聞くだけでは消化不良に終わる
・ 仮に放送を録音しても、番組を何回も聴くのは非効率
・ 週3回の学習日が週の前半に偏る
それぞれ具体的に何が問題なのでしょうか。
一つずつ見ていきましょう。
学習開始の段階で文法の全体像が見られない
NHKの語学講座は、毎月1回テキストを購入するスタイルです。
ですから、学習開始の段階では、最後までのテキストが手元にありません。
実は、これは大きな問題です。
というのも、2ヶ国語目以降の外国語を学習する場合は、早い段階で文法の全体像を知っておく方が効率がいいのです。
フランス語を学習する人の多くは、既に英語がある程度できるはずです。
特にNHKの語学講座で独り学ぼうという人なら、英語にもある程度自信を持っていらっしゃる人が多いでしょう。
そういう人は、英語の文法と比較をして、文法を理解します。
しかし、文法の全体像が分かる本が無いと、比較は簡単ではありません。
部分的な文法事項しか載っていない4月号とか10月号のテキストだけを買ってきても、比較はし辛いのです。
その意味で、NHK語学講座の月刊というスタイルは、問題ありと言わざるを得ません。
もちろん、他の文法書を買ってくるようなことも可能でしょうけどね。
それはそれで二度手間ですから、避けたいことです。
半年間で終わるという制約があるのでペースが速すぎる
NHK外国語講座の二番目の問題点が、学習するペースが速すぎるという点です。
英語以外の言語の場合、NHKの語学講座では、半年で基礎を一通り勉強ができるようにカリキュラムが組まれています。
基礎を一通りというのは、大学の第2外国語で2年かけて学ぶ範囲という感じで理解していいと思います。
あるいは、基礎的な文法事項を一通りと言ってもいいかもしれません。
講座によってはもっと範囲を限定しているものもありますけどね。
もうちょっと言い方を変えてみましょう。
ある年の「まいにちフランス語」の入門編を一通り理解できれば、フランス語検定3級程度なら楽に受かるはずです。
ちなみに3級のレベルというのは、「第二外国語として週2回の授業なら2年間の学習に相当」なのだそうです。
これだけの量を半年で学ぶというのは、はっきり言って無茶です。
こんなペースで語学が学べるはずがありません。
ただ単に、授業内容を理解するという事なら、このスピードでも問題ないのかもしれません。
でも語学の場合は、理解するだけでは全く不十分です。
内容を理解した上で基本的な単語を覚え、基本的なフレーズを覚え、基本的な文法を覚え、やっと先にすすむ事ができます。
それをしないで先にすすんでも、逆に非効率でしょう。
余程時間があって復習に時間が割ける人とか、余程センスがある人を除けば、講座についていくのは不可能でしょう。
初学者のほとんどが、開始2ヶ月以内に脱落しているものと思われます。
1回聞くだけでは消化不良に終わる
NHKの語学講座の場合、一回の講義で一つの内容は完結する事が多いようです。
次の回に短く説明されるようなことはありますが、まとまった時間を取って復習するという事はありません。
それどころか、前回までに学習した内容は既に覚えているものとして、講義がすすんでいきます。
まあ、半年で全て終えないといけないという事情があるので、仕方が無いのでしょうけど。
何にしても、こういう事実がある以上、一回の講義の内容はその回で覚えてしまわないといけません。
という事は、一回の授業+多少の予習復習くらいだと、完全に消化不良に終わります。
どう考えても、録音して反復して聞くとか、教科書を繰り返し読み込むなどの工夫が必要そうです。
そうしないと、とてもではありませんが授業にはついていけません。
1回で講義が完結してしまうもう一つの問題点が、本文を聞く回数が少なすぎるという点でしょう。
1回の講義でフランス語の本文を通して聴けるのは、おそらく3回か4回程度です。
本文を聞く回数としては、はっきり言って少なすぎます。
学習の仕方にもよりますが、100回とか200回といった単位で聞くべきだと思います。
仮に放送を録音しても、番組を何回も聴くのは非効率
上に書いた問題を解決するために、放送を録音して繰り返し聴くという方法も考えられます。
ただ、この方法も効率が悪いように思えます。
まず放送での文法解説は、初めて聞く人にもわかるようにとても丁寧にされます。
はっきり言って冗長なので、2回目以降は聞くのがつらいでしょう。
できれば2回目以降はシンプルな解説を聞きたいものです。
次にフランス語の本文の部分を聞くのにも問題があります。
というのも、ダイアログの部分に関しては、その部分だけ取り出して聞きたいからです。
解説付きの1回分の講義を繰り返し聞いていては、必要な回数を聞くのにとんでもない時間がかかります。
15分の講義を50回聞くなんて不可能ですよね。
もちろん、内容を編集したりして、ダイアログの部分だけを聞けるようにすることも可能です。
でも正直に言って、それはそれでとても面倒ですよね。
週3回の学習日が週の前半に偏る
英語以外のNHKの語学講座は、入門編と応用編に分かれている事が多いです。
放送回数は入門編が週3回で、応用編が週2回ということが多いようですね。
ちなみに、講座によっては週5回全て入門編ということもあります。
あるいは、入門編が週4回で応用編が週1回という事もあるようです。
仮に入門編が週3回で応用編が週2回の場合、入門編の放送は月曜・火曜・水曜の3日間に行われます。
という事は、週の後半の木曜から日曜は講義がないのです。
率直に言って、この形式では学習のリズムを取るのが難しいでしょう。
どうせなら、毎日講義があるほうが学習しやすいはずです。
4日も空いてしまうと、月曜日の講義はおっくうになりますよね。
次第に学習が遠のいていく人も多いでしょう。
なかなか厄介な問題です
以上のような問題があるので、NHKラジオ講座での学習は、あまり進められません。
教材としては悪くないのですが、非常に利用し辛いのです。
ですからフランス語に関しては、違う学習法を取る事をおすすめします。
特に、初学者の方がNHKの講座だけで学ぶと、100%に近い確率で挫折するはずです。
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