「超」勉強法はフランス語の独学に応用できるか?

もう15年以上前だろうか?
野口悠紀雄が書いた「『超』整理法」が話題になった事がある。

彼はその後も「超○○」という名前の本を出している。
そして、その中の一冊が、「『超』勉強法」だ。

「『超』勉強法」は主に高校生を対象にした本だ。
英語や数学など教科ごとの学習法を、筆者自身の経験を通して紹介しているというスタイルだ。

ただ、高校生だけでなく、大学生やビジネスマンの参考にもなるように意識はされているようだ。

内容に関してだが、まあ、正直に言って、浮世離れしていて真似しにくい部分も多い。
というのも、彼自身は東大から大蔵官僚になった超エリートなのだ。

私達のような平凡な能力しか持たないものには、とてもまねできないと思われる部分も結構ある。
それでも、参考に出来る部分も多いので、興味がある人は読んでみても良いとおもう。

大蔵官僚になるようなやつはどんな勉強をしているのかという、違う興味で読んでみても面白いかもしれない。

英語は教科書を丸ごと覚えましょう

個人的に興味を持ったのは、彼の英語の勉強法だった。
これは、かなり衝撃的なものだった。

一言でまとめると、「テキストの本文を全て暗記してしまえ」と言うものなのだ。
さらに付け加えると、「副読本があるのなら、それも覚えてしまえ」というようなことも書いてあった。

無茶な事を言うものだ。

一般庶民の頭では、とても覚えきれるものではないだろう。
教科書だけならともかく、副読本までと言うのは、いくらなんでも無理だろう。

英文の暗誦は優れた方法

それでも、英文を暗誦すること自体は、他でも紹介されている方法である。

例えば、國弘正雄という日本の同時通訳の第一人者だった人は、英文を覚えるまで何度も音読せよとすすめている。
この人は、アポロ11号の月面着陸の同時通訳をした人だ。

言語に堪能なことでも知られる考古学者のシュリーマンも、外国語の学習に暗誦を取り入れている。
彼は学びたい言語で書かれた小説を暗誦をしたそうだ。

ちなみに、彼は18ヶ国語を身につけたそうだ。
フランス語に関して言うと、6ヶ月でマスターしたとされている。

マスターという単語は抽象的過ぎて、どの程度のレベルに達したのかはよく分からない。
まあ、一応使い物になる程度の水準までは行ったのだろう。

暗誦自体はそれほど難しくない

さて、この方法を自分の語学学習に活かせないと思い、自分でも試してみた。
結論から言うと、暗誦自体はそれほど難しくない。

適切な量を選んで繰り返し朗読をすれば、それほど苦労しないでも暗誦できることになるはずだ。
フランス語教材のダイアログ程度だったら、20回も読めば覚えられた。

ただ、覚えようとする文章が長すぎると、暗誦は難しくなる。
また、知らない単語が多すぎても、覚えられない。

背伸びをし過ぎないという配慮は必要だろう。

実際に、何単語程度まで覚えられるかは、言語の習熟度によりそうだ。
私の場合、フランス語より得意である英語と中国語は、ある程度長くても覚えられた。

ある程度実力が付くまでは、短めのダイアログなどからはじめるのが良いだろう。
実力が付くと共に、一回に覚える量を増やしていけば良い。

ちなみに、「『超』勉強法」によると、テキストの例文のようなものを、1文だけ覚えるのはよくないそうだ。
内容的につながりのある、ある程度まとまった量を覚えた方が、記憶しやすいのだという。

これに関しては、國弘正雄も似たような事を言っていた気がする。

筆者自身は文法を軽視する事を書いているが

さて、「『超』勉強法」の英語学習に関する記述の中には、納得しにくいものもあった。
それは、文法を軽視する記述である。

同書を読んでいると、文法など必要ないような気にさせられてしまう。
しかし、それは完全に誤解だと思う。

筆者はどこかでNHKのラジオ講座を欠かさずに聞いたと述べている。
この本の中だったかどうかは覚えていないが。

それに、いわゆる優等生なので、学校の授業にもまじめに取り組んだだろう。

彼が文法の知識を持たないで、いきなり暗誦しているはずは無い。
第二言語として外国語を学ぶ場合、早い段階で文法を学ぶほうが効率的である。

タイトルに「超」という単語を入れる成り行き上、極端な事を書きたがっているのではないかと推測している。

興味があれば試す価値あり

暗誦自体は必ずしも不可能じゃないので、興味がある人は試してみてはいかがだろうか。
この方法に効果があることは、先人が証明しているのだから。


野口悠紀雄:「超」勉強法



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